Wooden buildings
環境共生型木造建築

木が選ばれる理由
Why wood is chosen
脱炭素社会の実現や地域経済の活性化のため、「公共建築物等木材利用促進法」が改正され「都市(まち)の木造化推進法」へと発展しました。政府は、公共建築物だけではなく、民間建築物も対象として木材利用を促進しています。
木造建築は、温暖化防止に貢献します。
木材との関係
木はCO2を吸収し、成長過程でその炭素を蓄えるカーボンストックと呼ばれる特性を持っています。この過程で大気中の二酸化炭素を減少させるため、環境に優しい資源として活用されています。
樹齢とCO2吸収能力
木の成長が進むとCO2吸収能力は低下します。樹齢50年以上の木々は、杉で50~60年、ヒノキで60~80年程度でその吸収能力が減少し、効率的なCO2の貯蔵が難しくなります。
適切な伐採と再植林の重要性
日本では戦後植林された人工林が利用期を迎えており、適切なタイミングで木を伐採し再植林を行うことが大切です。寿命を迎えた樹木が腐朽すると、蓄えていた炭素は再び大気中に放出されますが、木材を建築資材として利用することで炭素を長期間にわたり貯蔵することが可能となります。また、再び植林する事は環境面にも林業・木材産業の振興にも役立ちます。
木材の炭素貯蔵機能
伐採した木材は、その炭素を閉じ込めたまま建築資材として利用できます。木造建築物などに使用することで、炭素の貯蔵庫として活用し、長期間にわたりCO2の排出を抑えることができます。
建設業界のCO2排出量と木造のCO2削減効果
世界で排出されるCO2の約37%は建設業界から出ていると言われています。そのため、建物を建てる際のCO2削減も非常に重要です。例として、中大規模木造建築とRC造の温室効果ガス排出量を比較してみると、60%程度削減されるという見方もあります。 使用時の省エネルギー性能だけでなく、建設時のCO2排出を削減することが求められます。
木材のカーボンニュートラルな活用
建築資材として利用できない木材や使用後の木材は、カーボンニュートラルな燃料として利用できるため、化石燃料の使用を減らし環境への負荷軽減につながります。
木造建築の世界的な広まり
CO2排出を削減する木造建築は、世界中でますます注目されています。木造建築を採用することで、快適な空間と、自然との共生の両方を実現することができます。

木造建築は、持続可能な未来をつくります。
法律の整備と改正
脱炭素社会の実現や地域経済の活性化のため、「公共建築物等木材利用促進法」が改正され「都市(まち)の木造化推進法」へと発展しました。政府は、公共建築物だけではなく、民間建築物も対象として木材利用を促進しています。
CLT(直交集成板)などの新建材やSE構法などの新技術の普及
従来は鉄筋コンクリート造や鉄骨造でしか実現できなかった大スパン構造や耐火性を持つ中大規模建築が木造でも可能になりました。また、木造建築は地盤改良工事や基礎工事、工期短縮によるコスト削減など、鉄筋コンクリート造や鉄骨造と比べコスト競争力を持つケースが増えています。
世界的なトレンドと国内の動き
気候変動対策の一つとして、森林減少と森林劣化を食い止め、好転させる取組の強化や建築分野における持続可能な木材利用の促進を述べましたが、世界的に木造建築の流れが加速し、都市開発・素材イノベーション・テクノロジー・サステナビリティが交差する未来型建築として進化しています。日本国内でも脱炭素・サステナビリティを背景に、木造建築への注目が高まっており、豊かなデザイン性を木で造る価値が評価されています。
木造建築は、快適で健康的な環境の形成に寄与します。
調湿効果
木材には優れた調湿性能があります。
湿度が高い時は木材が水分を吸収し、空気中の湿気を減少させ、反対に湿度が低い時は吸収した水分を放出します。室内の湿度を一定に保とうとするため、快適な環境を維持することができます。
断熱効果
木材の細胞構造は空気を多く含んでいるため、熱伝導率が低いことから、金属やコンクリートに比べて熱が通りにくく室内を外気の影響から守ります。
また、断熱性能は冷暖房の効率を高めるため、エネルギー消費を抑え、電気代の削減にもつながります。
身体にも心にも好影響
木材が持つ断熱性により、室内の温度が比較的安定しているため、体温の急激な変化が少なく快適に過ごすことができます。
また、木材の自然な風合いや温かみのある色合いは、人間の心に安らぎを与え、ストレスの軽減につながり、心身ともにリフレッシュされる効果があります。